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2017年6月23日 (金)

引き上げられた死体には手がなかった

水没事故の凄惨さ

  2003年年頃、当時のビスタ刈谷店の松本透課長(現ネッツ徳重店の店長)さんから聞いた怖~いお話です。

 1992年頃、この課長さんの友人の知り合いが、知多の佐布里池に車ごと落ちる事故を起こした。事故を起こしたのは二十歳過ぎの男性で、若いガールブレンドも同乗していた。事故は昼間に起きて、それを目撃した仲間が助けようと水中に潜り、内部で窓ガラスを必死に叩いている2人を発見したが、水中のため車外からでもドアを開くことができず、結局、警察に助けを求めることになった。警察が車を引き上げた時は、すでに2人共死亡していた。恐ろしいことに、引き上げられた男性の手が無くなっていた。

 水没してから脱出しようと必死に窓ガラスを割るため手の甲で叩きつづけた結果、手の骨が全て砕けてしまい、結果として引き上げたときに手がないという凄惨な姿となった。最近の自動車の車内には、安全化設計と軽量化設計のため、ガラスを割ることができる部品は車内に存在しない。また事故を想定した強度となっている車のガラスが、人間の手で割れるわけがない。また水没の場合、水圧でドアは開かないし、電気も駄目になるので、パワーウイドウも開かない。悲惨である。

 2000年10月の愛知県下の記録的な水害時も、刈谷の主婦が自動車ごと用水に水没して、死亡したとの痛ましい事故が身近で起こっている。

 

ハンマー兼ハサミ搭載の必要性

 この種の事故の自己防衛手段として、車内搭載のハンマーが必要である。さらに車が横転した場合の脱出時には、このハンマーにハサミ機能が必要となる。横転して車が火災になった場合、車から脱出できないと、生きたまま焼かれることになる。最近、電気系統の配線が多くなった車には、火災事故が多いという。横転した場合は、自分の体重のためシートベルトが体に食い込み、簡単にシートベルトのロックが外せない状況が実験で分かってきた。その場合は、シートベルトを切って脱出するしか方法がない。いくら自分で運転に気をつけても、信号無視の車に横からぶつけられると、簡単に車は横転する。側面からぶつけられると、ドアが開かなくなり、火災になれば悲惨である

 

 国土交通省の発表では、平成25 年に発生した車両火災事故件数は1,220 件、前年の平成24 年は1,099 件で、毎年1,000 件以上の車両火災事故が継続して発生している。冒頭に話は10年以上前の話であるが、状況が変わっているわけではない。むしろ電気自動車、ハイブリット車の普及で、車両火災の危険性は増している。

 

 私は松本さんの話を聞いて、すぐ車にハンマーを乗せた。ただし乗せただけで、固定をしていないと駄目である。この種の事故の場合は車の姿勢がどうなっているか保証の限りでなく、その非常時にハンマーがどこかに飛んで行っていて、それに手が届く保証は全くない。これは運転席近くにキチンと固定すべきだ。

  人によってはカナヅチやナイフをこの目的で装備している人もいるが、車のガラスを割るのに、普通のカナヅチでは芳しくない。なにせ事故を想定した強化ガラスです。少々の衝撃では割れず、単にヒビが入るだけである。ガラスを割る機能として、ハンマーの先端は90度の鋭角さが必要である。

 

危機管理

 私は車の横転時に、車内からシートベルトを外して脱出する難しさを検証したビデオを見て、1998年からこのハンマー兼ハサミを自車に装備した。

 カーパーツショップに行くと、いろんな種類のハンマー製品が売られているが、これを保安部品と考えて、純正品が勧められる。純正以外の部品でも値段の差は、車の価格、己の命の値段から見れば微々たるもの。私の購入したトヨタ純正部品で、定価3,800円。

 

 幸福はお金で買えないが、不幸は少々のお金と決断で避けることができるお金があってもそれに投資をするとの決断がないと、不幸は避けられない。わずか2,3千円のことだ。これはお金の問題でなく、考え方と決断の問題である。保険としてこのハンマーを使わずに、その役目を終えることほど幸せなことはない。これが危機管理の鉄則である。またこのハンマーは他車の事故の救援にも使える。事故はどんな場合も悲惨である。2000年に新車に代えた時、このハンマーを外して、新しい車にそのまま付け直した。これは一生もの。2017年の今もこのハンマーは現役です。

 松本店長さんの話では、現在でもこのハンマーの存在を知っている人は稀で、あまり装備をしていないという(2017年6月23日現在)。車のカタログにも、隅に小さく載せてあるだけとか。本来なら標準装備にすべき保安部品である。

 

自分の身は、自分で守れ。

トヨタ自動車「中興の祖」石田退三氏曰く、「自分の城は自分で守れ」

 

 

図1 車搭載のハンマーの形状

図2 自車に搭載したハンマー

 

久志能幾研究所 小田泰仙 HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

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コメント

このハンマーのことを知り、本日買ってきて車にとりつけました。機会をあたえてくださりありがとうございます。

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