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2024年9月16日 (月)

薬膳の洗礼(4)縁起、脳幹を揺さぶられる

 

ディジュリデュとの出会い

 2024年9月11日、ディジュリデュ演奏家の小坂師が石川県から養老の船戸クリニックの統合医療センタに来て、演奏をされた。それは私が薬膳宿泊を終え、チェックアウトする朝であった。朝食会場で、博子先生がこの音色を是非聞いて欲しいと言われるので、しぶしぶ?会場に出向いた。

 小坂師は脳梗塞を患い、左上肢が動かずに身体障害者2級だったが、ディジュリデュを吹いているうちに、手足が動くようになって救われたという。

 現在、船戸クリニックでもその検証をするため研究をしているとか。月一の頻度で小坂師が養老を訪れると言う。その日がたまたま、私のチェックアウト日であったというご縁である。

 

ディジェリデュ概要

 ディジェリデュはオーストラリア大陸の先住民アボリジニの金管楽器で、シロアリに食われて筒状になったユーカリの木から作られている。1000年以上前に、アボリジニがディジュリドゥを作ったとされる。文献が存在しないので証明ができないが「世界最古の管楽器」の一つと推察される。

Photo

   wikipediaより抜粋編集

 

 ディジェリデュの音はYouTubeで検索すると多く出てくるので、そちらで。

 

ディジュリデュの健康への効果

 ディジュリドゥはアボリジニーにとって神聖な楽器で、精霊と交信をする儀式で使われてきた。また儀式のみならず病気や怪我の際に音を患部に当て、今で言う低周波治療のような使われ方もされていた。

 

 ディジュリドゥを吹くことにより脳幹にまで振動が届き、脳幹が活性するという論文でもディジュリデュの健康効果は報告されている。
Int J Environ Res Public Health. 2019 Sep; 16(18): 3443.Published online 2019 Sep 17.

 この論文は、「Didgeridoo 健康増進法は気分、精神的ストレス、自律神経系の安定性を改善する。」という題名である。自律神経にも効果があるようだ。

 音色は演奏者の唇の振動によって生まれ、幅広い倍音を持つ音が出る。この楽器の演奏がとてもむずかしいのは、循環呼吸によって途切れることなく音を出し続けなければならないからだ。

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循環呼吸

 ディジュリドゥの演奏には循環呼吸(あるいは連続呼吸)が使われる。この技法を使えば、演奏者は鼻から息を吸いながら口の中にためた空気を吐き出すことによって、途切れなく音を出し続けることができる。音色は演奏者の唇の振動によって生まれ、幅広い倍音を持つ音を出します。

 私が試した限りでは、唇を振動させて、案外簡単に音は出せた。ただし、循環呼吸ができないと、演奏は長くは続けられない。この楽器の演奏がむずかしいのは、循環呼吸によって途切れることなく音を出し続けなければならないからだ。それが健康に良いのだろう。

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脳への影響

 ディジュリドゥを吹いたとき、ディジュリデュの放つ周波数が頭蓋内、内臓に響き渡ることで、体内の細胞がその周波数で整っていくという感覚があるという。私はそこまでは体感できていない。
 そして、腹式呼吸をすることにより頭の感覚が鋭くなり、宇宙空間に繋がるとういう。その時の脳波は7.8Hzを意図的に出せたときの脳の感覚に近いという。脳波に7.8Hzが出現し始めて、さらに脳がシューマン共振と共鳴して、宇宙のエネルギーと同調し始めるという説である。

 

 これは口から出される音を増幅する孤独で内省的な楽器なので、だれもが独自の方法で吹くことになる。まるで自分自身の声を、脳に直接振動を与えながら、、聴いているような状態となる。その「ほとんど神秘的ななにか」こそが、この楽器の魅力かもしれない。それが今、私が興味を抱いた点である。

 特に脳の活性化には、大いに興味を注がれる。なにせ最近、加齢により、「物忘れが良くなってきた」ので、それを悪くしたい。

 しかし物忘れが良くなるのは、良いことではある。昔の嫌なことをすべて覚えていては、自殺を考えてしまう。失敗談を全て覚えていては、命がいくらあっても足りない。人は忘れるから良いのだ。だから覚えきれないほど、多くの失敗をしよう。失敗から、それを反省して、智慧が付き、人生を前進させるエネルギーが生まれる。

 小坂師と博子先生が、ディジュリドゥで合奏を始めたのにびっくりである。楽譜もなく、ジャズのアドリブ演奏と同じで、ぴったりと演奏があっているのが不思議である。これは治療なのだと納得した。

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体温への影響

 複式呼吸をすることで、体温が上がるという。体温が上がると、がんにかかりにくくなる。ガンになる人は、多くは低体温の人である。私も体温を上げようと取り組んでいるが、なかなか上がらない。この楽器はそれを助けてくれそうである。

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ディジュリドゥの位置付け

 アーネムランドのアボリジニ社会ではディジュリドゥは男性が生み出した楽器とされ、原則として女性が演奏することがない。ディジュリドゥは神聖な儀式にも、日々の暮らしの中でも使われている。伝統的な楽器として使用している部族では、女性が神聖な儀式でこの楽器を吹くことはできず、主に男性の通過儀礼で演奏される。部族によっては女性がディジュリドゥを使うことは絶対的に禁止されている。性的なイメージを連想するからだろう。

 

 船戸クリニックでは女性患者が多い。私が見学した当日、来院してこの演奏の訓練に来ていたのは全て女性であった。

 

名前の由来

 ディジュリドゥという名前の由来も様々な説があり、オーストラリアに入植した白人がその音を聞いて「ディジュリドゥ」と聞こえたからという説が有力視されている。

 他の説としては、英語が理解できないアボリジニーが白人に「Where did you get it?」とディジュリドゥを指差して言われて、アボリジニーが訳もわからず「ディジュリドゥ」と反唱した言葉を白人が勘違いしたとも言われている。

 

 この日の出会いは、ご縁であった。不思議なご縁であった。仏教では、これを縁起という。出会った縁をどう扱うかで、人生が変わる。

 今回のご縁も、私が船戸博子先生の講演を聞いて、漢方診察を受けようと決めたことで生じたご縁である。

 

 2024-09-16  久志能幾研究所通信 2942号  小田泰仙

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