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2018年11月15日 (木)

浜松国際ピアノコンクール(2)ピアノの見分け方

 国際ピアノコンクールの関心事は、ピアニストであるが、それ以外の最大の関心事がピアノの選定である。ピアノメーカにとっては技術アピールの最大の機会であるので力が入る。

 ファンにとっても、どのメーカのピアノが選ばれたかが大きな関心である。ホールを作りたいという夢を抱いている私も、どのピアノがどういう音を出すかは最大の関心事である。だから演奏中にメーカ名を知りたいのだが、遠くからではなかなか識別が難しい。

 最近のピアノの形状が、どのメーカも同じになってきて、一見しても、またホールの中央部の遠くの観客席からでは識別しにくい。ピアノ側面にメーカ名が表示されているが、暗いホールで遠くからでは見にくく識別が困難である。

 高松と浜松の国際ピアノコンクールで4社のピアノを見て、やっとピアノを外観から、メーカの識別できる点を発見した。一番明確な識別は下記のペダル支柱の角度と太さである。

 

音の差

 本来、ピアノの一番大事な差は、音であるが、演奏曲とピアニストの弾き方で大きく変わるので、私みたいな素人では、すぐには識別がむつかしい。特に今回の浜松のコンクールは演奏曲の選択数が多く、その差が聞き分けにくい。それと比較すると、高松のコンクールは演奏曲の選択数が少ないので、ピアノの音質の差が比較しやすい。そのピアノの音の差を文学的に表現すると(素人の私の個人的な独断で)、下記に表現した。

 ヤマハ       ハイテクで着飾った上品な貴婦人

 スタインウェイ   ヨーロッパの正統派貴婦人(雛形)

 カワイ       現代派雰囲気の明るい貴婦人

 ベーゼンドルファー ロマン派のヨーロッパ貴婦人

 

 今回は、ヤマハのピアニッシモの繊細な音が際立ってよく聞こえた。大きな迫力ある連続音では、なかなか差は分からない。それが、小さな音にピアノの差が出る。とはいえ、ピアニストが変わり、曲が変わると、他のメーカも同じように繊細な音に聞こえて、識別は難しい。

 

ぺダル支柱の支え棒の角度と支え棒の太さ

 ヤマハ       30度  細い   

 カワイ       45度  一番太い

 スタインウェイ   15度  中間の太さ

 ベートーヴェンドルファ 30度  細い   

  

ピアノの下部の塗装

 ヤマハ        薄黒(腹黒?) 一番わかりやすい 

 スタインウェイ    白木の状態(カワイよりシックな状態)

 カワイ        白木の状態(一番白く輝いている)

 ベートーヴェンドルファ 薄黒

1p1100113  ヤマハ 

2p1100112 スタンウェイ

3p1100120  カワイ 

4p1100121  ベートーヴェンドルファ

 写真は2018年3月の高松国際ピアノコンクールにて

 

上蓋の支え棒の塗装

 ヤマハ       艶消し塗装   

 スタインウェイ   艶消し塗装

 カワイ       光沢塗装

 

ピアノの足のキャスター(後ろ側)の向き

  ヤマハ       0度  

  スタインウェイ   45~90度

  カワイ       45度

  ベーゼンドルファー 45~90度

 

 前側の2つのキャスターの向きは、全メーカ共、「ハ」の字の状態に向ける。角度に多少のばらつきがあるが、ホールの係員任せなので、メーカの調律師は手をださないとのこと。

 後側のキャスターは調律師の責任で上記に設定するとのこと。メーカのこだわりがあり、上記の状態である。キャスターが床の木の節目に当たると、それを避けるため、多少の角度の修正があるようだ。また調律の最後の手段で、その角度を変えることもあり、それで音が微妙に変わるとか。

 ベーゼンドルファーは足の金メッキの部分の形状が他社と明確に違う。

 

2018-11-15 久志能幾研究所 小田泰仙

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