「桜田門外ノ変」の検証 (15/28) 主
組織と人生の危機管理
ある日突然、脳梗塞、心筋梗塞に襲われ、後始末の言付けさえ言えず、旅立たねばならないことを、家系図を作ってみて身近に多く見た。いくら自分の健康に自信があり、身内に名医を抱えていても、心筋梗塞という閻魔様の一撃(ぎっくり腰は魔女の一撃という)には、全く手の施しようがない。井伊直弼公もなまじっか北辰一刀流免許皆伝の腕があったため、襲撃の予告があったが、そのまま江戸城に行列を進めた。井伊直弼大老は、組織として動いているので、護衛は部下に任せるのが上に立つ人の務めである。襲撃側の最初の一撃である短筒の一発が直弼公の腰を貫き、籠の中で身動きができなくなった。いくら腕があっても、後はなす術がない。時代の最先端の武器が、旧態依然たる防衛側の隙をついた。いくら内部を整えても、環境、外部の変化が現状維持を許さない。
日頃から高血圧という佛様からのメッセージを無視すると、脳梗塞、心筋梗塞に襲われる。高血圧という体の警告が出ているのに、生活習慣を正さない愚かな人間が悲惨な結末を迎える。井伊直弼大老暗殺は、300年続いた泰平に世の歪が噴出して結末である。泰平の歪を直そうとして直弼公は荒療治をしたが、世の末の本質を理解しない暴走徒が、桜田門外の変を起こした。その対処療法として、急激な治療が人間の体を痛めると同じで、江戸幕府の体制も瓦解に進んでいった。
己はブラック企業の社長?
ブラック企業の経営者は従業員の健康を無視して過重な労働を強いる金儲け亡者である。それが原因で過労死になる従業員も多い。その家族が企業を訴える時代となり、問題が顕在化してきた。
同じ理屈で、体に必要以上の食べ物やアルコールを摂取すれば、胃も腸も肝臓も大忙しで、己の細胞に深夜勤務の過度の労働を強いて食べたものの消化・分解の仕事をしなければならない。体の臓器が超過勤務をしても処理しきれない残物が、体のあちこちに脂肪として堆積される。それが体の閻魔帳である。だからその人の体を見れば食生活の全てが自明である。神佛は食べ物が体に入ってこれば、えり好みせず消化をするするという体のしくみを造られた。そんな大事な体に、ブラック企業のような仕打ちをすれば、病気という罰があたるのも自然界の「理」である。それが最高の結果なのだ。それを「なんで私だけが」というのは不遜である。
「主」とは「王」座に立つ自分の姿「、」である。それは蝋燭台の炎を象徴している。どんな蝋燭も何時かは燃料が切れて消える。燃えて燈をともしている間に、何を照らすかが人生で問われる。己の体、37兆個の細胞の王として体を支配して、何を食べようと飲もうと夜更かしをしても自由であるが、その横暴な行いは全て自分に返って来る。
井伊直弼公は主座に座って、決めるべきこと決め、為すべきことを為した。その後に燃え尽きた。それも人生である。
2017-08-24
久志能幾研究所 小田泰仙 HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite
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