中国の石加工技術レベルに脱帽
2015年10月27日、一枚作り巻石が彦根の石屋さんに到着したので、確認に行った。大阪の日本石材センターで見たときは、梱包された状態であったので、中身が見えなかったが、今回、その仕上げ状態を見て、中国の石材加工技術レベルに脱帽した次第である。
残念な話であるが、現在では墓石加工技術では中国が日本の上を行っている。それを今回の墓造りで目の当たりにした。今回の一枚作り巻き石は、長さ3.6m、幅1.5 m、厚さ37cmである。この大きさの石を全面加工できる工作機械が現在の日本には無い。建設用の切断機ではあるのだが、墓石用の加工機ではない。現在は石材需要の量が激減して、経営的に成り立たないので、この分野から日本企業は撤退したという。
日本人のご先祖を敬う心が薄れて、お墓づくりが衰退し、墓じまいが盛況になっている。これが日本の衰退の一因だと思う。
石材加工の工作機械
幅1.5 mの石材を加工するには、それを据え付けられる門型の石材切断機が必要である。これを加工した石材切断機はカッター径が120インチ(3,048mm)という。それでも、一度では加工できず、両面から二度に分けて切断する工程が必要である。右図は日本の業者が所有している機械であるが、この機械でカッター径が50インチであり、これから想定すると、4倍の大きさの推定で30m余の大きさの機械となる。
工作機械はマザーマシンと呼ばれ、機械工業の基礎なすものである。現在、良質の工作機械を作り保有する国は日本、ドイツとなっているが、国策で工業化を進める中国は、工作機械開発でも恐ろしいエネルギーを蓄えているといえる。
石材切断機 ダイヤストン株式会社所有 これで50インチの砥石径の大きさ
実際の120インチの砥石経の機械を想像すると、とんでもない大きさである。
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中国新幹線に見る脅威
2007年4月の中国国鉄によるCRH型車両導入により開始された高速鉄道網は2011年末には 13,073 km、2015年末には 25,000 kmに達する計画である。
2020年現在、中国高速鉄道の営業距離は3万6000キロで世界一となっている。
日本の新幹線は、40年間かけて2015年現在、フル規格6路線(合計2,616km)である。2020年で、2,997.1 kmである。
中国は、15年弱で日本の総路線距離の10倍を敷設したわけである。その陰に右図のような建設機械がある。やはり数を稼ぐと、このような建設機械も開発して力を付けることが出来る。技術は単発勝負ではなく、量を稼いでその実力が磨かれる。残念であるが、技術力は金と人を投入しないと、持続できない。現在のの日本の停滞は、技術開発に金と人をケチッた咎である。
中国高速鉄道を敷設する巨大マシーン
http://www.recordchina.co.jp/a122062.html
中国のモノづくりに刮目
今回のお墓作りでは、一体型の五輪塔の球形部の加工が悪く、現地の検査員の検査に合格せず、検査員と現場サイドで大喧嘩をして、結局、作り直しとなったという。中国製のレベルではと当初はあまり重きを置いていなかったが、この顛末を聞いて、職人の世界の中国人の姿勢に襟を正した。日本の技術力の維持を願いたい。そのために必要なことは、何かを考えている。
日本経済衰退の一因
共産党による強制的な実行力には恐ろしいものがある。技術はその実績量で、技術の蓄積ができる。日本の技術を導入したからと見下していても、数をこなせば、いつかは凌駕されるのが技術の世界である。そうやって日本も経済・技術大国のなったのだから。
日本企業は中途半端なグローバル経済主義に染まり、中途半端な姿勢で経費削減に取り組み、中途半端な金儲けに走り方針で、技術開発に金を惜しみ、人件費は経費として削減を続けてきた。そのツケが日本経済停滞であった。
日本人は、現在の経済大国の地位を獲得するために、先人が汗と涙の苦労をしたことを忘れている。まるで、それを成し遂げた教育環境、開発環境を空気、水のように感謝しない国民になってしまった。それがお墓の建立率が下がってきていることでも現れている。
馬場恵峰書「佐藤一斎「言志四録」五十一選訓集」
2018年10月31日書 久志能幾研究刊
2021-08-06 久志能幾研究所通信 2112 小田泰仙
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