泰平の永眠誘う墓土台 たった1枚で 身閑安眠(2/3)

大きさに驚嘆

 中国での加工が終った墓石が、日本に入庫したとの連絡があり、2015年10月21日、石屋さんと一緒に東大阪市の石材センターに確認に出向いた。

 最初に目に飛び込んできたのは、石材センターの仮置き場に置かれた一枚づくりの巻石である。長さ3.6m、幅1.5m、厚さ37cmの一枚づくり巻石の梱包を傍で見て、「なんじゃこれは!」である。現物を見てから、とんでもないものを注文したものだと、吾ながら呆れた。

 図面から寸法を追えば、当然の大きさではあるが、実物を見て実感するのとは大違いである。どんな設計でも、やはり実物大のモックアップで設計検証をする大事さを実感した。

 石材センターの所長さんも、「今まで扱ったことがなく、一枚石づくりの巻石では日本一では」と言う。「これより大きい墓所の巻石は数多く存在するが、複数枚の石材を組み合わせて構築するので、一枚石づくりでは存在しない」という。そういうつもりは無かったのだが、結果としてエライことになってしまった。しがない年金生活者がやることではない。

 

ご縁の連綿

 今回の不思議なご縁で、3基のお墓を同時に建之することになり相応の大きさの巻石が必要となった。お墓の建之後に草取りや掃除等の手間を少なくする意図で一体構成を検討したら、たまたま大きな石材が在庫していて、それも、為替レート90円で入手した石材が偶然に在庫していたというご縁の賜物である。私の力ではない。何かに支援されたご縁の流れは恐ろしい。

 当家の墓石も、現在の大きさ9尺と同じであるが、座布団(ベッド)に相当する芝台が立派になった。それに加えてクリスタルグリーンブラックの色合いのため、大きく見える。五輪塔も、当家の墓石に合わせた大きさにした。北尾道仙さんの神道式のお墓は他の2つの墓石に合わせた大きさにしたため、現状よりも大きくなった。佛石、上台、中台、芝台のうち、佛石、上台、中台の一体型形式のお墓は、日本全国でも6体くらいしか存在しない(2015年当時)とのことで、石材店さんも構えていた。

 参考にしたお墓(松居家)の例では、納骨室の通気口を塞ぐ蓋が金属製であった。それでは石材との見栄え上で品がないと感じたので、材質を石材に変更してもらった。こんな石材への穴明けの加工は、普通はやらないとか。それもそうだと元機械設計者として納得である。これはコストアップの元凶ではある。結果として良い仕事をして頂いたと思う。感謝。

 半月形の石材は、風雨で水が通気口を通って納骨室の流れないようにするための水止めの堰材である。これも今回意図して追加した工夫である。

 

縁あり花開く

 遠戚の叔母が亡くなり、その家が絶家となったので、そのお墓のお守りをどうするかが問題になった。私がそのお守りをすると意思表示したことから始まったお墓造りである。本来、その叔母とは遠い親戚関係で、私がその墓を守る義務はない。叔母の墓は無縁墓としてお寺さんが管理する予定であった。その功徳か、その後に色々と不思議なご縁が連続して、今回のお墓改建の結末となった。世の中には「見えない何か」があると実感した。

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Img_7604sjpg 完成した三基のお墓石

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通気口の蓋と堰材

039a15511s 馬場恵峰書

2021-08-05   久志能幾研究所通信 2111  小田泰仙

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