煮ても焼いても食えぬ人は、長生きできない。自分自身を料理して、人に美味しく食べてもらうのが、長生きの秘訣である。「人に美味しく食べてもらう」とは、人のために役立つこと、人に喜んでもらうこと。
クセのある味でなく、素直な人間味のある人柄になることが、良き料理品である。
我々は生れてから、叱られ、叩かれ、刺され、くさされ、切り刻まれ、焼かれて料理される。そういう試練を経て、人間として成長する。そうやって鍛えられた身が、引き締まって美味しい肉なのだ。
それに比べて過保護で育てられたボンボンの肉は、養殖魚のような臭みがある。身は弛緩し美味しくない。養殖の魚の命は短いのだ。それはエリートと呼ばれる特権種族である。
我々に体は放っておかれれば、腐臭の肉となっていまう。その己の体の料理を外部の料理人(医師)に任せれば、金儲けの道具にされるだけだ。自分の身は自分で料理せねばならぬ。トヨタ経営の原則「自分の城は自分で守れ」に相通じる。
馬場恵峰書
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人生の消化過程
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人生経営
人生経営とは料理をするのと同じである。鍋の火加減を見ながら試行錯誤をして自分の料理を味付けする。人を喰うための料理も同じである。自分の体の調子を見ながら、体が食べるもの、心が食べるもの、運動、学習、休憩、睡眠を味加減して育てていく。それが体の経営である。自分自身を料理することが、人生経営である。
生れた人間をそのまま鍋(学校や社会)に放り込めば、それで料理が完成するわけではない。手塩をかけて料理しなければ、一人前の人間に料理が仕上がらない。材料の状態によって火加減も変えなければならぬ。それが人間の人生経営である。
自分が料理するもの
自分の体は土から生まれて、土に還る。その己の器に何を入れて料理するかが、人生経営で問われる。その料理には時間制限がある。通常の与えられた時間制限は、日本人男性の平均で、72歳である。これは男性の平均健康寿命である。それ以降は、寝たきり、病院通い等で思うようには動けなくなる。だからこそ、その健康寿命を延ばす取り組みが肝要なのだ。その時間を最大限に伸ばして、後世に残る料理を作るのだ。肉体は滅んでも、料理は残る。だからこそ美味しい料理を遺そう。
馬場恵峰先生は素晴らしい書画の作品を残してくれた。
松下幸之助翁は素晴らしい経営哲学を遺してくれた。
2022-11-16 久志能幾研究所通信 2543 小田泰仙
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