感謝する心を忘れてはならない。感謝する心があって初めて、物を大切にする気持ちも、人に対する謙虚さも、生きる喜びも生まれてくる。
松下幸之助翁
「ありがとう、お世話になりました」という声が聞こえる家に、破綻はないとは、馬場恵峰先生の言葉である。
私が人を判断する指標に、感謝の言葉をその一つにしている。人が世話をして、礼一つ言わない人とは、その後の付き合いに一歩引いている。実際、長い人生経験で、その言葉のない人に何度も煮え湯を飲まされた。だからその人とは、付き合いを避けるのだ。自分の人生は自分で守らねばならぬ。
人の行動の微分値が「感謝」の心である。その小さな行動で、その人の未来の行動を予測できる。
今、自分がこの世に有るのは、ご先祖の恩、親の恩、友人知人の恩、師の恩である。毎日感謝して生きよう。
社是に「感謝」の有無
会社の社是で、何のために会社が存在しているか、それに「感謝」の言葉の有無で、その後の行動が違う。
トヨタは同業他社中で一番不祥事が少ない。日産、三菱の不祥事は目を覆うばかりである。
松下電器(現パナソニック)は、同業他社の多くが外国勢に吸収されたが、現在でも健気に世界で戦っている。
2022年8月22日に名古屋空港バスが横転炎上事故を起こした。そのバスの製造メーカは三菱ふそうである。その社是では、利益が最優先で、感謝の一言もない。
三菱ふそうは、元は三菱グループの会社で、三菱自体が、約150年前の明治維新の時、岩崎弥太郎が政商として金儲けが目的で作った会社である。当時、渋沢栄一に一緒にやろうと話を持ち掛けたが、岩崎の考えでは社会のためにならないと、渋沢と岩崎は喧嘩別れをする。
三つ子の魂百までで、三菱の体質は金もうけが脈々と伝わっている。それが三菱自動車、三菱ふそうにDNAとして伝わって何度も不祥事を引き起こしている。偶然ではないのだ。
車メーカであるなら、まず乗客の安全、法令順守が第一のはずが、三菱ふそうの社是では、優先順位三番目である。それも「誠実」が最初で、その次に、おまけで「法令を順守します」である。その法令を大事にしない体質が、リコール隠しの背景にある。それが原因で多くの人の命が失われた。
現在、三菱ふそうは、三菱から見放されて、ダイムラーグループに売り飛ばされて、ダイムラーの一員となったが、その体質は変わっていないようだ。衝突して簡単に炎上してしまうバス構造に、その設計思想が現れるている。いまだそんな簡単に炎上したバス事故は聞いたことがない。バスの構造基本設計が間違っているとしかいえない。人命軽視の設計が染みわたっているのだろう。
上記4社が、その後の社会に与えた醜態の有無は明白である。
豊田綱領の第5項目
神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし。
松下電器の「私たちの遵奉すべき精神(七精神)」の7番目
・感謝報恩の精神:感謝報恩の念は吾人(ごじん)に無限の悦びと活力を与うるものにして此の念深き処如何なる艱難(かんなん)をも克服するを得 真の幸福を招来する根源となるものなり
それに対して、日産の経営理念は、下記である。
「独自性に溢れ、革新的な車やサービスを創造し、その目に見える優れた価値を、全てのステークホルダーに提供します。それらはルノーとの提携のもとに行っていきます。」
日産は、あくまで株主に奉仕するという社是である。そこには社会に対する感謝の念はない。
日産は財閥の鮎川義介が、図面も設備も技術者もフォードから買ってきて、金儲けのために設立した会社である。豊田自動車は、豊田喜一郎が日本の工業力の成長、生産技術の向上の為に、全て国産で作ることを目指した会社である。日産の金儲けだけの会社とは違うのだ。三つ子の魂百までは、会社で当てはまり、その後の会社の成り行きを見れば、それが納得できる。だから目ざといゴーンは、日産をカモだと嗅ぎつけて、むしゃぶりつくしたのだ。だから恩有る社員の首を切るなど何とも思っていなかった。
日産の経営理念には、車という装置に対して、ユーザの安全に関する配慮がない。最大の株主であるルノーの利益が最優先なのだ。だから今まで会社を支えてた恩が有る社員の首を切り、ご先祖の資産を切り売りし、見せかけに建て直しをしただけである。そうやってゴーンは利益をルノーに送り、自身も金儲けをしたのだ。その末路は悲惨であった。因果応報である。
三菱ふそうの企業理念
ダイムラーグループの企業理念(三菱ふそうはダイムラーの一員)
「情熱」
私たちは製品やサービスを通じてお客様の成功をお手伝いします。常に最善を尽くして取り組み、可能性を拡げる努力を惜しまず、学び続け、成長します。
「尊重」
私たちは、相手の立場に立って行動します。お客様や関係する仲間に対して常に胸を開き、多種多様な意見や考え方を大切にします。行動力と独創力を大切にし、賞賛するだけではなく、ときにはアドバイスも行います。社会的責任を果たし、お客様に評価され得るように、日々、真摯に業務を遂行します。
「誠実」
私たちは、約束を必ず守ります。企業理念、法令および社内規則を順守します。
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(豊田綱領では「法令を守る」が第一項目で宣言されている。
現在のトヨタ基本理念の第一は、「内外の法およびその精神を遵守し、」である。トヨタが使う「遵守」という言葉は、三菱ふそうが使う「順守」に比べて厳格である。遵守は、順守と比べて厳格に守るという意味が含まれている。言葉一つで会社の姿勢が分かる。
会社経営では、結果が全てである。それが三菱のリコール隠し、死亡事故の原因放置、空港バス炎上事故である。)
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「規律」
私たちは透明性と公平性を守るために高い倫理観と誠意をもって議論を行い、根拠に基づく決断をします。結論は明確にします。我々は一団となって取り組みます。
上記は、経営理念の言葉として私は違和感を覚える。この経営理念には、バス購入者の利益の言及はあるが、乗客の「安全」への言及がない。
2022-09-12 久志能幾研究所通信 2489 小田泰仙
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