私は前職の会社で、技術者の教育を担当していた。そのため、技術教育の一環で各地の工場を見学していた。その引率者としてバスの最前部席に座って、新人技術者や中堅技術者をあちこちの工場見学に案内した。
また私は財団法人自動車技術会の支部事務局として、各地の特色ある工場見学の為、バスの最前部席に座って、自動車技術会の会員をあちこちの工場見学に引率した。そういう仕事を10年間も続けた。
また頻繁に県営名古屋空港行きのバスにも乗っていた。飛行機の撮影のためだ。それも多くの場合はバスの前の方に座っていた。
また町内の親睦バス旅行でも、立場上、バスの最前列席に座る。
今までの10年間の経験でも、自分が引率したバスで、事故を1回経験している。
そういう経歴で、前職の会社の全社員(約1万人)中で、私がバスの最前列席に座った回数は、一番多いと思う。
もしそういう状況で、2022年8月22日の名古屋市北区の空港行きの大型バス横転炎上事故は人ごとではなかった。私もこのような事故に巻き込まれれば、焼死していた恐れがある。バス前部の席は燃料タンクの真上にあり、事故で炎上すれば、その席が人間焼却炉となってしまう。
ANN NEWS より "ただのノア@Noa_Ark_03"さん撮影
2022年8月22日10時15分、名古屋市北区の名古屋高速道路・豊山南出口付近で、空港行きの大型バスが本線と出口の分離帯に突っ込んで、横転して炎上した。後続の乗用車もバスに追突し、2時間半も炎上し続けた。運転手と乗客の2人が死亡した。脱出できた7人は軽いけがですんだ。死亡者はバスの運転手と乗客一人で、死因は焼死であった。
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幸い、私は仏様のご加護でそういう目に逢わずにすんだ。
人が運行する事象では、事故は絶対に起きるもの。それを予想して対策をするのが危機管理である。
私は「知りたることを、人に教えざるは、借金をして返さざるが如し(福沢諭吉翁)」の言葉を大事にしている。
そして気が付いたことを世に知らせる。それが一燈の明りであっても、それを灯し続ければ、何時か多くの人が賛同してくれる日が来る。
バス横転炎上事故を踏まえた対策
運転手も生身の人間である。突然の疾患に襲われ意識を失うこともある。その対策が必要だ。現在は、バスやトラック、タクシーで、年間300件ほどの運転手の突然疾患での事故が起きている。その際に、燃料タンクが破損して、今回のようなバス全焼事故が起きる恐れが高い。
意識喪失や居眠り等検知用の瞳センサを設置。
異常時に非常停止
燃料タンクをバス前部に配置する構造的欠陥を無くすこと。
これは法的整備が必要だ。
燃料タンクを保護する骨組みを設置
これは法的整備が必要だ。
非常停止ボタンの設置
バスの運転手の異常で、乗客が非常停止ボタンでバスを止める。
これは既に6%ほどのバスに設置されているようだ。
後部に非常用脱出ドアを設置
バスが横転しても使える脱出ドアが必要
後部や横の非常時ドアは、横転すると使えない。
バスの天井に非常用脱出ドアを設置(横転時用)
バスの窓ガラスを割る脱出ハンマーを各所の設置
バスが横転すると、シートベルトが体に食い込み、ベルトを外せない。
そのため脱出ハンマーにハサミが付いている必要がある。
馬場恵峰書
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2022-08-29 久志能幾研究所通信 2476 小田泰仙
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