「自分合衆国(我集国)」建国の父を目指して

 

 自分とは、利他的な我、利己的な我、佛のような我、鬼のような我が集って、一人の人間としての自分がいる。各「自我」の要素の大小の比率で、人の性格、人格が決まる。自分は、その集合体である自分合衆国(我集国)の大統領として君臨している。やりたい放題である。その自我をどう律するかで、自分という国の成長が変わる。

 

フランクリン

 ベンジャミン・フランクリン(1706年 - 1790年)は、アメリカ合衆国の政治家、著述家、物理学者である。印刷業で成功を収めた後、政界に進出しアメリカ独立に多大な貢献をした。現在の米100ドル紙幣に肖像が描かれている。

 彼は勤勉性、真理の追究性、合理性、奉仕活動という18世紀における近代的人間像を象徴する人物である。己を含めて権力の集中を嫌った人間性は、個人崇拝を敬遠するアメリカの国民性を超え、アメリカ合衆国建国の父の一人として讃えられる。

 

建国の父

 1728年ごろ、彼は道徳的な人間に成長する計画を思いつき、その実現のため、自らの信念を13の徳目にまとめた。彼は毎週、一週間を徳目の一つに捧げて、年に4回この過程を繰り返した。それが彼をアメリカ合衆国建国の父を呼ばれるまでに成長させた。

 その内容は、仏教の戒律や豊田綱領、5S、トヨタ生産方式にも相通じる禁欲性があるが、非常に建設的な徳でもある。東西の偉人の目指すところは同じである。

 フランクリンは、彼は毎週、一週間を徳目の一つに捧げた。トヨタでは毎日、豊田綱領を唱えて社業に邁進している。私は毎日、読経をして、戒律を唱えている。同じことである。

 残念なことに、今のアメリカは拝金主義、グローバル経済主義、アメリカファースト、と建国の父の精神が衰退している。それが我が国も影響を与えている。日米の健全な精神の復活は、フランクリンの13の徳が必要だ。まず自分が、自分我集国の父になることを目指して、精進すべしである。

 

フランクリンの十三徳

節制  飽くほど食うなかれ。酔うまで飲むなかれ。

沈黙  自他に益なきことを語るなかれ。駄弁を弄するなかれ。

規律  物はすべて所を定めて置くべし。仕事はすべて時を定めてなすべし。

決断  なすべきをなさんと決心すべし。決心したることは必ず実行すべし。

節約  自他に益なきことに金銭を費やすなかれ。すなわち、浪費するなかれ。

勤勉  時間を空費するなかれ。つねに何か益あることに従うべし。無用の行いはすべて断つべし。

誠実  詐りを用いて人を害するなかれ。心事は無邪気に公正に保つべし。口に出すこともまた然るべし。

正義  他人の利益を傷つけ、あるいは与うべきを与えずして人に損害を及ぼすべからず。

中庸  極端を避くべし。たとえ不法を受け、憤りに値すと思うとも、激怒を慎むべし。

清潔  身体、衣服、住居に不潔を黙認すべからず。

平静  小事、日常茶飯事、または避けがたき出来事に平静を失うなかれ。

純潔  性交はもっぱら健康ないし子孫のためにのみ行い、これにふけりて頭脳を鈍らせ、身体を弱め、または自他の平安ないし信用を傷つけるがごときことあるべからず。

謙譲  イエスおよびソクラテスに見習うべし。

 

 馬場恵峰先生は「心に残しおく古訓言と恵峰折々の漢詩、詞文集26」でこのフランクリンの13徳から12項を挙げて揮毫された。わざと「純潔」の項を省かれたのは愛嬌である?

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 馬場恵峰書『心に残しおく古訓言と恵峰折々の漢詩、詞文集26』より

   久志能幾研究所 発行予定

2021-07-30   久志能幾研究所通信 2105  小田泰仙

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