危機管理 エスカレーター事故、咄嗟に声が出ず

 

 危機管理で大事なことは、事故が起きたらすぐ周りに大声で知らせることだ。しかしこれは場数を踏まないと身に付かないようだ。また問題点はすぐ管理責任者に報告すべきである。

 2021年2月17日、愛知県がんセンターのエレベーターで事故を目撃した。情けないことに、その時、私は声が出せなかった。

 

状況

 杖をついた老人と付き添いの老女が、登りのエスカレーターに乗っていた。登りの中央部付近で老人が崩れるように倒れた。それを付き添いの老女が慌てて支えて、そのまま上に運ばれていった。

 私はその横の下りエスカレーターに乗っていたが、中央部なので何も手が出せなかった。その時、声を上げればよかったが、検査・診療後で疲れていたためか、咄嗟の声が出せなかった。また周りに非常ボタンも見当たらなかった。

 幸い、老人は座り込んだまま、エスカレーターで最上部に運ばれて、そこで人が集まって騒ぎとなった。

 

問題点

とっさに非常ボタンを押そうにも、何処にあるのかわからなかった。

とっさで、私は声が出せなかった。

エスカレーターの非常停止ボタンは、気が付きにくい場所にある。今回、初めて目が行った。

エレベーターの速度は、他の場所の一般のエレベーターと同じ速度である。

 京都駅新幹線ホームのエレベーターの速度を実測したら、10段の動く速度が7秒で同じであった(2021年2月27日)。体の不自由な人の利用の多い病院なら、急ぎ客の多い新幹線ホームのエレベーターよりも速度を遅くすべきである。

 

対策

 私はその事故の後、問題が起きれば、管理者に報告して対策を打つことを助言すべきである。私が責任者に報告しなければ、誰も報告しなかったようだ。

 私はすぐ責任者と面会して、現状の事故の報告と問題点の指摘をした。

 感心したことには、責任者は真摯に話を聞いてくれて、すぐ対策をすると約束したこと。

 

結果と再発防止

 2021年3月3日、私が検査で病院を訪れると、エスカレーター前の掲示板が「杖をついた人は利用禁止」の警告の表示になっていた。病院側の真摯な対応に感謝である。

 私が愛知県がんセンターに通いだして、2年になるが、今までも同じような事故が度々起きているようだが、実質的な対策が打たれたのを初めて見た。私は良き危機管理行動を取れたと安堵した。

 事故や問題が起きれば、管理責任者に報告して対策を打つことを要請すべきである。私が責任者に報告しなければ、誰も報告しなかったようだ。

 

 残念ながら、エレベーターの速度は遅くなっていない。機構的な問題で、速度は変えられないようだ(ACモータを使用と推定)。米原駅設置のエスカレーターは乗り降りする場所だけ速度が遅くなる機構となっている。そういう仕様が望ましい。

 がんセンターを訪れる人は、全員が病気である。体の弱った人を考慮したエレベーターの仕様決めが必要だ。

 時間的に、非常停止ボタンを別途に設置はできていなかった。最終的に誰でも目に付くように、大きな非常ボタンボックスの設置が必要。

 病院なので、杖をついた人は、エスカレーター使用を止めるように、近くの職員が案内するとよい。今回、使用禁止の掲示がされたが、皆さん楽をしたいので、エスカレーターを使用するだろう。だから危機管理が必要だ。

P1140365s  事故のあったエスカレーター 愛知県がんセンター 2021年2月17日

P1140369s 事故のあったエスカレーター 愛知県がんセンター 2021年2月17日

P1140364s  非常停止ボタン 愛知県がんセンター 2021年2月17日

P1140431s  改良後 愛知県がんセンター 2021年3月3日

 

P1140432s_2   改良後 愛知県がんセンター 2021年3月3日

P1140434s_2   改良後 愛知県がんセンター 2021年3月3日

P1140373s  地下鉄 自由ヶ丘駅のエスカレーターの非常停止ボタン(わかりにくい)2021年2月17日

2021-03-03 久志能幾研究所通信 1937 小田泰仙

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