飽食・餓鬼道を驀進中の日本(3/4)

母の言葉が、生きる力を与えた言霊

  今川氏は、母を小学3年生の春に亡くされた。学校に行っているとき家から呼び出しがあり、急いで帰ったが母の死に目には会えなかった。その母は生前、「お母さんは死んでもあんたを護ってあげる。」と言っていた。その言葉を寝られない夜に思い出して、シベリア抑留を耐えたという。零下60度では収容所内のペチカをいくら燃やしても隙間から侵入してくる冷気のため、宿舎のベッドで眠られぬ夜を過ごさねばならなかった。その時思い出すのが、前記の母の言葉であった。言葉には言霊という力がある。たった一言で命が救われることもある。元気をもらうこともある。母の言葉が救いの力であった。

60  今川氏の講演会で母の一言の大事さに思い至った。

  今川順夫著『夢への挑戦の礎』より

 

大脳に良い習慣

 目や耳でキャッチした画像情報は、一時的に頭の後ろの方にある視覚中枢、聴覚中枢に送られる。脳の表面の大脳皮質にあるたくさんの神経細胞を通って、前頭前野に情報が送り込まれる。前頭前野は、人間と動物を区別するポイントとなる重要な場所で、ここで情報を判断したり認識したりする。

 もう一つの情報の伝達ルートは、大脳皮質の神経細胞から脳の奥にある視床下部を介して、A10神経群と呼ばれる部分を通過し、前頭前野に達するルートである。A10神経群とは、次のようなさまざまな役割をもった神経核の集まりである。

・海馬回  学習、ものを覚えたりする短期記憶の中枢を担う。

・扁桃格  感動や身の危険などの危機感を覚える部位です。

・側坐核  好き嫌いを感じたり、愛情を高めたりする。

・尾状核  感情を覚え、複数の言語も操る。

 A10神経群に属する様々な神経核を情報が通過する間に、「好き」「嫌い」「生きたい」「死にたい」「おもしろい」「興味がある」といった感情が生み出される。その中でも、特に「好き」「感動的」といった前向きな感情を含んだ情報は前頭前野に到達すると生きた情報となる。特に極限状態では、自分は母に護られているという気持ちは、生きる力を駆り立てる。その前向きな気持ちを生み出すのに、ドパーミンの分泌を促すドパーミン神経群が大きく関係していて、前向きな人ほど考える能力が高いと言われる。(この項、『脳に悪い7つの習慣』林成之著より) 

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馬場恵峰書

2018-06-07

久志能幾研究所 小田泰仙  

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