グローバル経済主義教の大垣市長

 現在はグローバル経済主義競争という宗教が、世界中で猛威を振るい、従来の価値観を破壊しつつある。特に世界の大企業は、この宗教に帰依しないと生き残れないとして、この「宗教活動」の布教に邁進している。この宗教が国家の時間を食いつぶしている。次のステージは暴動、国家崩壊である。国民が不幸になるために働く社会が正常であろうか。

 行き過ぎたグローバル経済主義競争の結果が、一部の特権階級が99パーセントの富を独占し、貧富の差を拡大し、年功序列の価値観を破壊し、国民の多くを不幸にしている。成果主義の過度な増長である。ゴーン社長のように年収10億円の社長がいる一方で、生活保護者が2,163,394人(2016年)もいる。これは、100人に2人の貧困者割合であり、何かおかしい。40年前はそんなことなど、話題にも上らなかった。

 

サラリーマン平均年収の推移

 日本政府の無策で、日本のサラリーマンの年収は下降を続けている。1997年に比べて50万円も下落した。

 1995年 457万円

 1996年 461万円

 1997年 467万円

 1998年 465万円

 1999年 461万円

 2000年 461万円

 2001年 454万円

 2002年 448万円

 2003年 444万円

 2004年 439万円

 2005年 437万円

 2006年 435万円

 2007年 437万円

 2008年 430万円

 2009年 408万円

 2010年 412万円

 2001年 409万円

 2002年 408万円

 2003年 414万円

 2004年 415万円

 統計元:平成26年 国税庁 民間給与実態統計調査結果

 

安さの追求の果て

 企業が人件費の安さを求めて海外進出をすることで国内の生産を減らし、結果として国内労働市場を縮小させ、非正規社員を増加させている。非正規雇用労働者は、15.3%であった昭和59年(1984)から急増し、以降現在まで増加を続けて、現在の非正規雇用労働者は、雇用者全体の37.3%(2017年)と二倍以上に増えている。さらにフリータを増やし(152万人、2017年)、失業者を増やし、自殺者(年間3万人前後)を増やしている。

 私が新入社員の頃の40年前は、派遣社員の方が、自由に仕事ができて収入が多かった。腕に自信があると、独立をして派遣で働いたもの。今は、時代が変り、古い価値観が崩壊している。儲かっているのは特定の企業のみである。多くの人が不幸になる「宗教」とは正しいのだろうか。新興宗教でも教団だけが金持ちになり、信徒が貧乏になる構図と同じである。

 

大垣の惨状

 大垣市長の差配で、大垣市役所だけは124億円もかけて立派になるが、大垣駅前商店街はシャッター通り化してスラム街になりかけている。大垣市長がそういう政策を推進したのだ。

 大垣市の2014年の平均所得は、311万4153円で、全国市区町村ランキング300位で下位に位置する貧しさだ。全国平均平均所得415万円に比べて大きく見劣りする。それだけ大垣市の経済が活性化していない。それどころか衰退の一途である。大垣市長が長期政権に胡坐をかき経済活性化の策を講じない。大垣市長の無為無策の結果で、大垣市は貧困地域から這い上がれない。

 

グローバル経済主義という名の宗教

教祖   欧米の特権階級、各企業のトップ、行政のトップ

御神体  拝金主義が求めるマネー

経典   グローバル経済主義と拝金主義という教義

      金儲けが最優先、勝者のルールを弱者に押し付け一人勝ち

      1%人が99%の富を独占するのが自然の法則という定め

      貧困層が激増するのも神の思し召し

      (経済学と科学が浸透すれば、貧困は無くなるはずだが?)

寺院   大企業、グローバル企業、お役所

信徒   大企業の経営者、官僚 (中小零細企業の経営者は対象外)

異教徒  一般大衆

 

ジニ係数

 ジニ係数とは、主に社会における所得分配の不平等さを測る指標である。ローレンツ曲線をもとに、1936年、イタリアの統計学者コッラド・ジニによって考案された。所得分配の不平等さ以外にも、富の偏在性やエネルギー消費における不平等さなどに応用される。係数の範囲は0から1で、係数の値が0に近いほど格差が少ない状態で、1に近いほど格差が大きい状態であることを意味する。ちなみに、0のときには完全な「平等」つまり皆同じ所得を得ている状態を示す。社会騒乱多発の警戒ラインは、0.4である。

 

1975年→2014年 ジニ係数の推移

 アメリカ  0.32 →  0.40

 英国    0.27 →  0.36

 日本    0.30 →  0.33

 フランス  0.28 →  0.29

 ドイツ   0.25 →  0.29

 スウェーデン 0.21 → 0.28

 

ローレンツ曲線が示す貧富の差

 もっとも平等な社会はジニ係数が0で下図の緑線で示される。不平等ほど下凸の曲線で、示される。完全不平等ではジニ係数が1の赤線で示される。この場合は99人が貧乏で、1人が富の99%を独占している状態を示す。下図の縦軸は富の累積値で横軸は収入である。

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 アメリカではグローバル経済主義で拝金主義が横行して、貧富の差が急拡大している。中国ではジニ係数が0.61(2012年末)になり、暴動発生寸前の状況である。これも経済特区を作り、経済最優先で驀進して、中国特有の特権階級が富を独占しているからである。金持ちは益々金持ちに、貧乏人は益々貧乏になっていく。高福祉国家のデンマーク、フィンランドはジニ係数が低い。フランス、ドイツ、日本はまだ平均的なジニ係数の値である。

 

中国のジニ係数

 北京大学「中国民生発展報告2015」によると、12年のジニ係数は0.49と国家統計局の数値0.474を上回り、また保有資産でみたジニ係数は、95年0.45から2012年0.73に上昇。上位1%の層が社会の3分の1の富を保有する一方、下位25%の層は1%の富しか保有していない。家計調査や失業率推計で定評のある西南財経大学家庭金融研究センターの2014年調査では、13年に所得上位10%が社会の富の60%強を保有しており、ジニ係数は0.717だ。

玄冬舎HP「低すぎる?中国国家統計局が公表する「ジニ係数」への疑念」金森俊樹著2016.2.29より(https://gentosha-go.com/articles/-/2342

 

貧富の格差の拡大の影響

 2014年8月、米国・ミズーリ州で黒人青年の警察官による射殺事件をきっかけに抗議デモ、暴動や略奪行為が起こり、夜間外出禁止令も出る騒動になっている。この背景にはグローバル経済主義の行き過ぎがもたらす貧富の格差の拡大による貧困層の不満の爆発がある。世界最富裕の国で暴動、夜間外出禁止令である。世も末で、米国も中国を笑えない。その状況に危機感を持った米国民がトランプ氏を大統領に選んだ。

 

合成の誤謬

 「合成の誤謬」とは経済用語で、個々の場合には正しいが、全体となると正しくないことを意味する。グローバル経済主義は、個々の企業には都合が良いが、社会全体には不都合な結果をもたらす。

 大垣市政の個々の政策は、いかにも市民のためであるように見えるが、全体では市民を貧困に陥れる政策なのだ。それを「合成の誤謬」と呼ぶ。だから大垣市は衰退に一途をたどっている。大垣市長とその取り巻きは「豪勢の誤謬」に浸って悦にいっている。

 

大垣市のグローバル経済主義

 大垣駅前商店街の衰退も大垣市ベットタウン化も地価下落も、大垣市政の大型小売店舗優先、大企業優先、弱者切り捨ての政策が影響している。大垣市は、市民のためと誤魔化して役人、大企業を優先して、市民を貧困に誘導する政策に終始している。それは正にグローバル経済主義者の行動そのものである。

 なにせそれが役人には楽なのだ。大義名分も立つ。仕事を大企業に丸投げすれば、役人は苦労をしなくて済むのだ。事故が起きれば業者に責任を押し付ければよいのだ。ドローン墜落人身事故のように。大垣市民の我々は、大垣市役所の仕事ぶりに監視の眼を向けねば、己の生活が破壊される。

 

2018-05-25

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

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