かがみがはら航空宇宙博物館、命の美しさ

 

 私は飛行機を見ているだけでも幸せな気分になれる。2022年11月9日、4年ぶりに「岐阜かがみがはら航空宇宙博物館」を訪問した。各務ヶ原市の「那加福祉センター」を見学に行った後、帰りにこの博物館に寄った。「那加福祉センター」のレポートは後日にお送りします。

 

極限の姿

 飛行機とは空気の抵抗と重力に抗って飛ぶ機械である。その姿は贅肉を削ぎ落し、空気力学的に美しい。特に軍用機は国と国民を、敵から守る責務がある。

 太平洋戦争で活躍したゼロ戦は、堀越二郎技師が機体設計でグラム単位の軽量化を図り、世界最高性能の戦闘機に仕上げた。それは資源のない日本が、その弱点を設計という武器で戦った武勲である。設計者もゼロ戦の設計に心血を注ぎ、命を賭けて図面上で戦った。設計者は図面に書く一本の線に命を賭ける。私も機械設計者として20年間、図面と格闘したから、それが分かる。だからこそ、その任務に徹するための姿は、研ぎ澄まされて美しい。無機物の飛行機だって、設計者の魂が籠った命なのだ。

 現代社会は拝金主義に汚染されている。利権にまみれた世界を飛びまわる政治屋は、醜い贅肉を晒している。それに反して、ひたすらその任務の飛行のために徹して設計された美しい姿に私は惚れる。

 

着陸

 飛行機は一度飛び立てば、平和な着陸か墜落、死しかない。車はエンジンが止まれば、その場で停止するだけだ。死ぬわけではない。船も同じである。しかし重力に逆らて飛んでいる飛行機はエンジンが止まれば墜落して、死である。

 人間も生まれて、この世に羽ばたけば、後は必ず着陸せねばならぬ。生あるものは必ず死がある。だからなにか飛行機に魅了される。

 今回は説明を省き、単に写真だけを掲載します。

 

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2022-11-11  久志能幾研究所通信 2539  小田泰仙

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