今回、後藤さんの工房で木彫の龍を撮影して、いろんなノウハウを獲得した。そのカメラの設定値は、絞り11固定、iso感度を自動応答にして(最大12,800まで)、シャッタースピード1/30で、手持ち撮影すれば、奥までピントが合って、画像にノイズも乗らないで撮影できる、である。画素数6100万の高密度で、常用感度12,800でノイズを気にせず撮影できるなんて、夢のようだ。
カメラの画素数は6100万画素(9505× 6336)で、1ファイル41メガバイトである。今回は様子見でrawデータは止めにした。
撮影した工房内は暗く、撮影には不向きな環境である。それでもソニーα7RⅣはなんなく仕事をこなしてくれた。50年前にブルーエンジェルスが名古屋空港に来たときの撮影は、感度ASA400の(当時の)高感度フィルムであったことを思い出すと、今の時代で最先端のカメラを駆使できる幸せを感じる。
バランス重視
問題は、カメラの技術進歩が速すぎて、データ容量の拡大スピードに周辺機器の進歩が追いつていないことだ。CPUが遅いパソコンでは、大容量のデータを扱うのが辛い。またカメラ店での印画でも、プリンターが600dpiだから、普通のサイズの印画では、画素数の大きさの差が目えない。
最新のカメラで画素数が一億のカメラも手が届く時代となった。しかし、それを使いこなすには、周辺機器を全て買い直さないと使い物にならない。なにごともバランスが必要だ。
ハイスペック不要
政治家や実業家でも、高学歴のハイスペックを誇っている人もいる。それは単にその昔、ペーパーテストのための記憶力だけが良かっただけで、人間的に優れているわけではない。革新を続けていたソニーも、東大出の役員が増えたら、心の病になる社員が激増したという。そして業界のモルモットと言われ、革新的製品を出し続けて来たソニーの社風は、並みの会社並みに堕ちた。あのストリンガー社長がアイボの開発を止めさせた。ソニー没落の始まりであった。人間として優秀とは何かを考えさせられる事例である。
昇龍とは
上に立つ人は、何も才能で突出していなくても、当たり前に人の痛みや悲しみを理解できる人でよい。仕事は部下がやってくれるのだ。その環境創りが出来る人であれば良い。人々は干ばつになると弁財天に雨乞いをお願いする。弁財天の頭に鎮座する龍が、雨を降らすのではない。龍は雨雲の神様を動かして、雨を降らせるのだ。要は龍は天気運行会社の社長である。
上に立つ人に必要なのは、才能ではなく、会社の夢を実現させたいという情熱である。情熱から生まれる上昇気流である。その実現のために龍は黙って部下を眺めるだけだ。その情熱が龍のように上昇気流を社内に巻き起こす。昔のソニーにはそれがあった。今のソニーにはそれがない。
私は、自分有限会社の社長として、ソニーを他山の石として自省している。
彫刻師後藤大地氏作 後藤さんの工房にて
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2022-08-08 久志能幾研究所通信 2456 小田泰仙
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