家を新たに建てることを思いつき、各社の住宅展示場を回り、多くの営業マンに会って、その人達の自己紹介のレベルが、大きな差があるので違和感を覚えた。営業担当者のレベルを見れば、会社のレベルが分かる。そのレベルは営業担当者の自己紹介や名刺の内容で一目瞭然である。その実例をお伝えする。
名刺や自己紹介資料の目的
その営業担当者は、それで何を相手に伝えたいのか。それは名刺でも書類でもパンフレットでも、自己紹介でも同じである。その資料で何を最初に伝えるかで、その人の意図と能力が分かる。
ビジネスマンは、その場で顧客が何を知りたいかを瞬時に理解せねばならぬ。成果を出すには、空気を読むのではなく、状況を理解する能力が求められる。
残念なことに、自己紹介する本人は、全くわかっていないようだ。
なぜ自己紹介の資料に出身高校が必要か。仕事には出身高校名など関係ない。魚釣りの趣味も関係ない。私は、釣りが趣味の営業マンからなど、モノを買おうとは思わない。生き物を殺して遊ぶのが好きな人などと付き合いたくない。
自己紹介では、その人の生き方が縮図のように現れるのだ。
事例1 ある営業マンの自己紹介資料(青字は資料の掲載順)
大きな顔写真
「この顔を覚えて下さい! 精一杯頑張ります」
客にとって全く意味のない情報である。
なんで営業マンの顔を覚えろと命令されねばならぬのか。
頑張らない営業マンが存在するのか?
当たり前のことを、読ませるな。時間の無駄、時間泥棒である。
それで客にどういう付加価値を与えるのか。
釣り上げた大きな魚を自慢げに掲げる写真
釣りが嫌いな客には不快である。仏教徒の私は殺生が嫌いだ。
それが売りたい商品とどんな関係があるのか。
経歴
それが必要か。客が欲しいのは商品情報。
私は営業担当者の経歴などは知りたない。
出身高校情報
それがその仕事に関係するのか。
逆にその人のレベルが露見して、逆効果である。
出身大学情報
それがその仕事(売る商品)に関係するのか。
現在勤務先
名刺を見れば書いてあるではないか。不要、無駄
保有資格
これは必要。なぜ、それが後回しで掲載されているのか。
趣味情報
趣味に「釣り」、「100均店舗巡り」とある。
私は生物を殺して喜ぶ男から商品など買いたくない。
私は安物買いが趣味の営業マンから商品を買いたくない。
100均商品の製造は、奴隷労働がないと成り立たない。
この男はそれが分かっているのだろうか。
100均商品に囲まれて生活すると、運勢が下がるのだ。
抱負
これが一番大事なのに、書類の最後に書かれている。
当然、内容がお粗末であった。
事例2 新人教育での自己紹介事例
私が前職の時代、新入社員研修で「ビジネス文書の書き方」の講義をしたとき、ある新人に「自己紹介をしなさい」と、その論理構成の話し方の事例として一人を指名した。多分そんなことは考えず話すだろうと推定しての質問である。彼は、私の思惑通り、とうとうと出身地から趣味までを自己紹介として話し出した。彼は私の落とし穴にはまったのだ。
ビジネスマンは、その場で何を出席者に伝えるべきかを瞬時に理解せねばならぬ。成果を出すには、空気を読むのではなく、状況を理解する能力が求められる。彼はその点が理解出来ていなかった。新人研修の場は宴会や親睦会ではないのだ。そこでは趣味の話や出身地などはご法度である。
2021-11-06 久志能幾研究所通信 2200 小田泰仙
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