--タバコの煙は赤ちゃんの体重を100 g減らす--
島本太香子医師(大阪府環境保健部)
妊娠中にタバコの煙に囲まれていると、生まれる赤ちゃんの体重は、煙のない環境で暮らす場合に比べて小さく、平均で100 g以上の差が出る。妊婦が家族や同僚の煙に晒されると、日に3~5本吸うのと同じことになる。
1992年から3年間、奈良県内の産婦人科で、順調に出産した妊婦を対象に調べた結果、下記のデータが得られた。
妊娠中に喫煙した人はごくわずかだったが、家族や職場の同僚のタバコに晒されていた受動喫煙の人は全体で6割、約800 人いた。それを下記の4分類に分けて、赤ちゃんの体重の平均を取った結果、受動喫煙の妊婦の赤ちゃんほど、体重が小さいとの結果がでた。その差は平均で100 gである。
n= 1333 人
赤ちゃんの 体重差
妊婦の状態 平均体重(g)(g)
○喫煙しない場合(ベンチマーク) 3,140
①換気ない部屋にいて、周囲が10本以上喫煙 2,900 ▲ 240
②換気ない部屋にいて、周囲が 9本以下喫煙 2,900 ▲ 240
③換気ある部屋にいた 3,070 ▲ 70
④たまにしか煙に晒されなかった 3,170 30
| 喫煙の平均 3,040 ▲ 100
1996年4月9日の日本産科婦人科学会で報告(『朝日新聞 1996.04.09』)
赤ちゃんの体重に対して100 gは、成人のそれの2Kgに相当する。これは可愛いわが子の肉を切り取っていると同じ。
人生は劇場に例えられる。煙草中毒患者は『ユダヤの商人』のシャイロック* の役を演じる。タバコの煙で、生まれくるわが子の肉を切り削む。
肉親愛豊かな?シャイロックが切り取ろうとしたのは、商売敵の肉で、わが子の肉ではない。(*;シェイクスピア劇『ユダヤの商人』のユダヤ商人)
タバコの煙が我が子の肉を切り刻み、妻を乳がんにする。
2021-06-02 久志能幾研究所通信 2046 小田泰仙
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