1999年、先代のクレスタを10年間乗ったので、新車に更新しようと三河地方のトヨペット店に商談に行った。目当ては当時のベストセラー車マークⅡである。当時は月生産台数も3兄弟車で3万台を超えていたトヨタのドル箱商品であった。道を走ると右も左もマークⅡばかりという時代である。
そのトヨペット店で見積もりを取ったら、その営業マンが超強気で「マークⅡは名車ですから。売れているのですよ」と「売ってやる」のだという上から視線の口調が嫌になった。マークⅡが黙っても売れるので、営業は得意になって客を馬鹿にしていた。それで値引きもあまりない。そんな営業姿勢では、購入後のフォローも誠意が無かろうと早々に遁走した。
誰のお陰で売れた?
マークⅡが売れている要因は、血の滲む開発をした開発陣とそれを支えた営業企画、生産体制のお陰である。その開発の陰では、徹夜もあっただろう。各部門の担当者が上司から叱られて泣いたこともあっただろう。試験がうまくいかず途方に暮れたこともあるだろう。親会社から無理なコストダウン要求で泣かされた協力会社もあるだろう。
それをディーラの営業マンが売ったと威張るのは傲慢である。謙虚さがない。
人生の定年
それで真摯に対応してくれたトヨタビスタ店で兄弟車を買うことにした。
当時名車としてドル箱であったマークⅡも、マークχとして2019年で生産が終わった。一時は3万台を超えた生産も、最後は月700台程度に落ちていた。勝者必滅の掟である。どんなベストセラー車でも、定年あり、死がある。
人生は好調の時にどう振舞うかで、その後の人生が変わる。人生にも商売にも謙虚さが必用だ。
馬場恵峰書
2020-01-16 久志能幾研究所通信 1452 小田泰仙
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