磨墨智417. 人を育てる

 自分の代役を育てるほど、自分の時間が豊かになることはない。理想は自分を乗り越えて自分以上に成長してくれること。そういう想いで、私は自分教育と部下教育を重視して会社生活を送ってきた。私が技術管理部の課長となってからは、技術者教育体制も整備した。問題はそれに応えてくれる部下も「上司」も少なかったこと。だから私を育ててくれた会社は市場から消えた。

 勝負の世界でも、師匠を乗り越え、師匠を打ち負かすことが恩返しなのだ。

 私が70歳を前にして思うことは、持てる智慧、知識は来世に持って行けないという焦りである。それを後世に伝えたい。せめて文書で後世に残したいと、文筆活動をしている。

 

義子先生の後継者

 河村義子先生は、残された5年という時間を意識して、後を受け継ぐ後継者を育て来た。「世界で一流の音楽を聞く会」、カナデノワコンクール、子と音、等の音楽プロジェクトを立ち上げ、それを運営してくれる人を育てて、それを見届けてからこの世を去っていった。「人を育てる」とは、素晴らしい遺産である。

 

2019-05-25   久志能幾研究所通信 小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

コメント(0)