2019年1月21日、鈴木隆一会長に佐藤一斎の板書を贈呈して、その後、車で恵那駅まで送ってもらう途中で、「岩村の小学校を見学しませんか」という話になり、お言葉に甘えて小学校に向かった。なんでも岩村の藩校の趣を再現した門があるので,ぜひ見て欲しいとのことであった。
その小学校は町から4,5キロ離れた山の中にあり、生徒のほとんどは徒歩で通学しているという。冬は通学の山道に雪も積もり通学が大変そうである。しかし若い時に体を鍛えるためには絶好の場所だという。
その学校の門は、昔の藩校の門を再現したデザインになっていて、風格があった。その門の中に、孔子の書画と佐藤一斎の言志四録の一節の板書が掲示されていて、感心した。生徒は毎日この書を見て学校に登校するのだ。また玄関を上がると、正面に額入りの大きな書で三学戒「少にして学べば壮にして成すことあり…….」(神渡良平書)が掲示してあった。学校が言志四録モード全開である。
小学校での言志四録の勉強
鈴木隆一会長は、岩村小学校で、6年生の50数名に対して、佐藤一斎の教えの講義を年間6時間(2時間を3回)担当されている。素直な年代の小学校生は、水が砂に沁み込むようにその教えを吸収するという。小学校生は、卒業までに、言志四録の名句を30句、暗記するのを努力目標に頑張っている。日本の未来に少し希望が持てて嬉しかった。鈴木隆一先生は、前職は高校の校長先生である。退官後の時間を佐藤一斎顕彰会の会長として、また言志四録を子供の未来のために教える仕事に携わってみえる。素晴らしいことだ。
お嫁入り先が急遽決定
この訪問時に、鈴木先生が思いついて校長先生に、贈呈した板書を見せることを思いつき、また岩村に寄贈予定の板書の一部を、小学校学校、中学校にも掲示するのも一案だと提案された。確かに、岩村に来る観光客より未来を背負う地元の子供たちの眼に毎日触れさせるほうが、日本のためにはなると合点した。
それで校長先生に面会を求め、この板書の経緯を説明したら、一目で気に入ってもらい、ぜひ一枚を学校にと、この板書のお嫁入り先が決まってしまった。それは三学戒「少にして学べば壮にして成すことあり…….」でした。子供たちにもこの句は、人気ベスト5に入る句とか。この句は私の選定の寄贈板であるので、名誉なことだと嬉しくなった。吉村校長も言志四録の話しになると熱が籠って、他の小学校校長とは一線を引く存在感があった。子供たちには頼もしい先生である。
この板書の寄贈を希望される方も、学校にも贈る前提で句を選定されると良い。先生の話を聞くと、巷の大人より、ここの小学校の生徒の方が、言志四録に関する知識がありそうだ。
鈴木隆一会長と吉村良校長 校長室で
たまたま、校長先生にお会いできたのは、奇跡である。当日、私は、近年まれにみるトラブルに遭遇して、その対応で奔走した。それで当初の午前中の鈴木さんとの面会が、午後にずれてしまった。そのお陰で出会ったご縁である。面会が午前中なら、当日は多忙であった校長先生と都合が合わず面会は叶わなかった。これは仏様が仕組んだトラブルのようで、結果オーライのご縁となった。私も危機管理として学びがあり、再発防止が出来た。
2019-01-22 久志能幾研究所 小田泰仙
著作権の関係で、無断引用を禁止します。